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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2008/07/18

慶州南山、塔谷の東面上部は山東省の影響?

塔谷(タップゴル 탑골)磨崖群の東面右上方には、丸顔で大きな頭光に囲まれた胸部が線刻されている。頭光があるので俗人ではないはずだ。
頭部の左側と胸の下に幅のある枠があって、下の飛天たちとは別に彫られたようだ。顔の描き方も全く違う。時代も別かもわからない。
この丸い顔が記憶に残り、ひょっとして『中国・山東省の仏像展』で見た「日月を持つ天人風の人物」ではないかと思ったりした。

仏三尊像 1956-57年広饒県埠城店 山東省石刻芸術博物館蔵 北魏時代
同展図録は、舟形光背の外側に6体の楽天が舞い、頂の左右には日月を持つ天人風の人物が見えるという。
山東省では手に持っていた太陽や月を、塔谷東面ではその中に人物を表すという風に変わっていった。故に仏菩薩ではなく人物だったというのはどうでしょう。
ただ、仏三尊像は、ふっくらとした頬に笑みをたたえた表情を伝えており、二重に着た大衣や、大衣の下に着けた裳の裾が左右に広がりを見せているのは、北魏時代後期の様式に通じているということで、北魏後期は494-534年なので、遅くとも6世紀前半である。これ以降に日月を持つ人物を表したものが図録あるいは他の本にないので、それ以降も造られたのかどうかわからない。そして、塔谷の磨崖群は7世紀中葉ということなので、時期的にはかなりの開きがある。  また、東面には、丸顔の人物の左の方にうっすらと円形が線刻されているように見える。

※参考文献
「中国山東省の仏像-飛鳥仏の面影-展図録」(2007年 MIHO MUSEUM)