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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2008/07/15

慶州南山、塔谷磨崖群の東面はにぎやか

塔谷(タップゴル 탑골)磨崖群の中でも東面が一番面積が広いせいか、様々なものが彫られている。 まず、中央の下の方には如来と左脇侍がそれぞれ蓮華に座している。
左脇侍の左肩すれすれにまで飛天が舞い降りてきている。天衣が垂直に近い表現だがスピード感はない。さて、主尊だが、蓮華の花弁をぎっしり敷き詰めたような頭光をつけている。着衣は重そうで、マトゥラー式の偏袒右肩である。どこからまわってきたのか、衣端が両腕と、結跏趺坐した足の裏も隠している。表情は穏やかだが、他に似た仏像があっただろうか。頭部は螺髪ではないようだ。『慶州で2000年を歩く』は7世紀中葉としている。
如来の向こうには右脇侍ではなく、舞い降りた飛天が表されているが、顔や細かい表現はよくわからない。 菩薩の左肩まで降りていた飛天と合わせて、仏菩薩の上には3人の飛天が舞い降りているが、不思議なことに、先ほどから登場している飛天の上方に大きな頭光に囲まれた仏の頭部だけが彫られている。 中央の大岩の右方の細い岩にも舞い降りる飛天が描かれている。どうもこの飛天の視線は中央の仏菩薩を見ていない。主尊同様穏やかな表情である。 菩薩の斜め下から仏坐像を拝んでいる僧侶に注がれているように思う。残念ながら僧の着衣が袈裟かどうか見分けられない。中央の岩の左にある岩には森の中で禅観あるいは瞑想する僧が描かれている。袈裟は付けていないようだ。 ※参考文献
「慶州で2000年を歩く」(武井一 2003年 桐書房)