ホシガラスが埋めて食べ忘れた種のように、バラバラに芽を出した記事が、枝分かれして他の記事と関連づけられることが多くなった。 これから先も枝葉を出して、それを別の種から出た茎と交叉させ、複雑な唐草に育てて行きたい。
2007/03/29
アートボックストンボ玉とコアガラス田上恵美子展
画像は拡大しますが、ストロボなしで撮影したため不鮮明なものもあります。尚、田上恵美子氏は田上惠美子さんでした。
田上恵美子氏の個展を見に豊中に出かけた。阪急宝塚線曽根駅から東に1分も歩くと、アートボックスというギャラリーがある。落ち着いた雰囲気の、居心地の良い画廊である。驚いたことに田上氏は着物姿だった。聞くと「50になったら自分で着物が着られるようになろう」と思っていたのだそうだ。歳を重ねてますますチャレンジャーになっていく田上恵美子氏である。アーティストの例に漏れずシャイな田上恵美子氏はなかなか顔を撮らせてくれない。やっと撮れたのがこれ。今回はスランピングやフュージング(かわさきガラスWORLDに説明あり) したものが新たに出品されていた。掛け物は色んな材料で工夫した手作りということだ。またグラスクラフトトリエンナーレ2004で佐竹ガラス大賞受賞した「まどろみの終わりにささやきが聞こえた」という作品も、個展の度に変貌をとげ、今回は輪郭がギザギザ、泡泡したものができあがっていた。金箔も様々なものをいろんな風に使っているので、それぞれに色も輝きも異なっていて、全体で見ても、1つを見ても楽しく、見飽きない。トンボ玉もたくさんある。陶器などをはめ込んだ奈良の木工作家の台(アートボックス所蔵)の上に載せられると、上のステンレスのや、下の方のアクリルのものとはちょっと違って見える。
左から2つ目のものは、トルコ石の青色と金のラインがエジプトを思わせる。名古屋の手造りガラスびいどろ家で、「歴史上の人物から注文があったとしたら貴方はどんな玉を創りますか」テーマを与えられてトンボ玉を制作したことがあり、クレオパトラで制作したものの1つとか。当たらずとも遠からずだった。しかし、息子さんには形が「寝袋みたい」と言われるそうである。田上氏と言えば金箔・銀箔をよく使う作家であるが、今回は私には截金(きりがね)を使ったように見える作品がところどころに置かれていて驚いた。
実は、昔博物館で仏像や仏画を眺めていて、表面にきらきら光るもので文様が表されていることに気がついた。それが截金だった。そして、その細い截金で表された様々な文様がどこからきたものだろうかと思ったのが、今まであちこち寄り道しながらも続けてきた美術史の勉強の原点だったのだ。
聞けば、田上恵美子氏は平安佛所の人間国宝の截金師江里佐代子氏の作品を見て截金の創り出す文様に興味を持ったのだとか。
私はといえば、テレビで江里氏が截金で文様を描いていく様子を見たことがあり、現代でも続いている技術なのだと思った程度だった。
トンボ玉だけを見るのと、銀の輪っか?に通されたものを見るのとでは雰囲気がまた違って見えてくる。 そして、トンボ玉そのものも、透明なもの、色の付いたもの、半透明なもの、不透明なもの、ツヤのあるもの、ないものと様々である。
円錐形のものも作品で、オーガンジーで蓋をしている(のかどうか、聞くのを忘れた)。帯留めも幾つかあった。自分が着物を着るようになってわかったという工夫も随所に見られる。
アートボックスは豊中市曽根東町1-10-3
「トンボ玉とコアガラス 田上恵美子展」
2007年3月28日~4月8日
田上恵美子氏の略歴