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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2020/01/14

エルコラーノ サムニテスの家


㉛サムニテスの家(Casa Sannitica)はデクマノ・インフェリオーレとカルドⅣの交差点にある。

カルドⅣの入口から入ると鱗形の舗床モザイク、
そして、狭い通路の両側に第1様式の壁画が出迎えてくれた。

『THE EXCAVATIONS OF HERCLANEUM』(以下『HERCLANEUM』)はエルコラーノでも最古級の家屋であるという。
思わぬところで、しかも間近に第1様式の壁面装飾を見ることができた。
第1様式について『完全復元2000年前の古代都市ポンペイ』(以下『完全復元ポンペイ』)は、浮彫装飾によって、同じ大きさの切石を積んだ真積みの壁にみせかけている。いちばん下には高さのある黒い腰板、その上に白い石板、彩色した切石の粗面積み3段、平らなフリーズがえがかれ、いちばん上にはスタッコの立体的なコーニスがあるという。
『完全復元ポンペイ』は、第1様式は「化粧張り様式」または「構造的様式」ともよばれ、ポンペイに残る装飾の年代(前200-80)からみて、最も古い様式である。スタッコ(化粧しっくい)を用い、コーニス、片蓋柱、ルスティカ、円柱といった建築要素を模倣し、大理石風に装飾するという。
ここでは斑な石の表現もある。
入口側を振り返ると、上にコーニス(水平の出っ張り)、開口部両側に角柱の付け柱、その柱頭には2段の平らなアカンサスの葉のコリント式。両者の間にはかすかに細い綱や柱が認められる。ここは第4様式のフレスコ画のよう。
最初の部屋はアトリウム。雨水だめよりも前方の光の入る列柱が、今までにない特徴。
壁面は黒を背景とした第4様式のフレスコ画。
真上には板仕切りのある家のように、
トレリスは木製のようだけど、何のために?
壁面も同じように列柱とトレリスになっている。
天窓に樋口が並んでいる。板仕切りのある家と同じく犬のよう。

入口側
『HERCLANEUM』は、低い格子の柵と組み合わされたイオニア式の付け柱で、列柱廊のように見せかけている。
右側の壁
これは白い漆喰で造られて、第1様式のオリジナルであるという。

『HERCLANEUM』は、食堂は、コッチョペーストに白いテッセラでメアンダー文(卍繋ぎ文)を四角形の縁の帯文様、中央の主文様がロゼッタ文(開花文)となっている。その四隅にはイルカに挟まれたパルメット文の床面という。
菱形は中央のロゼッタ文だけでなく、卍繋ぎ文の外側にもある。
壁面には第4様式のフレスコ画というが、
色の違いくらいにしかわからない。

当時の子供の落書きも

これが第4様式だろうか。
この壁面はすべて同じ色
小さな絵は第3様式。右端にも落書きが。
庭園は、後の時代に2軒の邸宅の建物が建てられて失われたという。


エルコラーノ 板仕切りの家  エルコラーノ ネプチューンとアンフィトリテの家

関連項目
エルコラーノ アウグストゥス崇拝殿
ポンペイの壁画第1様式

参考文献
「THE EXCAVATIONS OF HERCLANEUM」 Mario Pagano 2017年 Edezione Flavius
「完全復元2000年前の古代都市 ポンペイ」(サルバトーレ・チロ・ナッポ 1999年 ニュートンプレス)