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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2013/10/11

アテネ国立考古博物館 ミケーネ6 ガラス




ミケーネの考古博物館で気になるものを見付けた。説明を写してなかったので、出土場所や時代はわからないが、前後の写真から、祭祀センター内で出土したものと思われる。

ミケーネのガラス製品といえば、開放鋳型で作った薄いものしか思い浮かばなかったが、これは確かにガラスで作られたものだった。
円錐形のものはゲーム・ピースかな。
ゲーム・ピースについてはこちら
ここには3種類あるように見える。
1つ目は穴がく、単色のもの。輪っかを積んだような形が認められるので、型物だろう。
2つ目も穴がなく、現在では白と黒い色に見える2色のガラスの羽状文。羽状文は前15世紀のコアガラスにもあり、それがエジプトで作られたものか、メソポタミアで作られたものかははっきりわかっていない。
それについてはこちら
ただし、それらはコアガラスのアンフォラ形の壺なので、作り方はわかるが、このミケーネのアクロポリスから出土したガラスには、コアを掻き出す開口部がない。例えば、金属の芯の先に丸い形のコアを作り、その周りに溶かしたガラスをつけていって、円錐形に成形したところで、金属棒で数箇所上にひっぱるとこのような文様ができあがる。
もしこれが、裏側が空洞なら、その製法で作ったものと思うのだが。
いや、よく見ると、そけぞれ2つずつ穴があいている。どのようにして作ったのだろう。

3つ目はモスグリーンに見える穴の開いた壺形のもの。これならコアガラスの作り方でできるだろう。

アテネ国立考古博物館のミケーネの出土物の部屋で、数ある金や金属製品の展示ケースに紛れて、ガラスのコーナーが地味にあった。
ほぼ開放鋳型によるガラス製品だ。
せっかくのミケーネ・ガラスなのに、しかも今まで見たことのない形のものもあるのに、あせって写したために、ピンボケばかりだった。それでも、説明も写したので、紹介しておく。

20(21の後ろ) 鳥形ガラス 103墓出土
21 女性形ガラス 2墓出土
22 坐る牡牛のビーズ ファイアンス 82墓出土
23 女性像 ガラス
24 8の字楯 ガラス 8の字楯はガラスでも作られていた。やっぱり二枚貝を開いたような盛り上がりがある 
25 枝を持つ女性像の飾り板 ガラス 27墓出土
26 ガラスの飾り板さまざま
27 御神酒の壺を持つライオン頭の悪魔 ガラス 93墓出土
28 蔦の葉形ビーズ ガラス 8墓出土
29 渦巻の浮彫のあるペンダント・トップ ガラス 56墓出土

30:花形ペンダント・トップ ガラス 69墓出土
31:様式化された房飾り ガラス 93墓出土
32 タコの飾り板 ガラス
33 金箔で覆われた蔦の葉形飾り板 ガラス
34 ガラスの飾り板と様々な形のビーズ ガラス
そして中央に展示されている円花文のビーズさまざま ガラス

このようなミケーネ時代のガラスだけではなく、アテネ国立考古博物館には、2階(1st FLOOR)の片隅の部屋(63)がガラス器の展示室になっているので、自由時間になったら、必ず見ようと思っていた。

ところが、見学した日はギリシアの祝日に当たっていたため、1階(GROUND FLOOR)のミケーネの展示室(4)と彫刻室(7-35)、そして1階のテラ(サントリーニ)島出土物展示室(48)、そして特別展のアンティキティラ島沈没船の出土物の展示室だけが開かれていたのだった。
それなら図録だけでも、と地下に下りたら、祝日ということでミュージアムショップは閉まっていた。それだけではなかった。現地ガイドによると、このギリシア中から出土した宝物を収蔵しているアテネ国立考古博物館は、図録というものを今まで発行したことがなく、やっと始まったばかりで、ほとんど揃っていないという。
なんという博物館だろう。

アテネ国立考古博物館のホームページはこちら
同博物館の平面図はこちら

アテネ国立考古博物館 ミケーネ5 貴石の象嵌← 
                 →アテネ国立考古博物館 ミケーネ7 円形墓域Bの出土物

関連項目
オリンピア考古博物館1 ミケーネ時代
古代ガラス展とアンティキティラ島出土物 円錐ガラス碗
レースガラスはアンティキティラ島出土物にも
アテネ国立考古博物館 ミケーネ4 象嵌という技術
アテネ国立考古博物館 ミケーネ3 瓢箪形の楯は8の字型楯
アテネ国立考古博物館 ミケーネ2 円形墓域A出土の墓標
アテネ国立考古博物館 ミケーネ1 アガメムノンの黄金マスクとはいうものの