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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/09/16

始皇帝と大兵馬俑展4 銅車馬と文様


2号銅車馬の車輿は「龍のような動物の文様」が一面に描かれていた。
後部扉にはなかったのかな。
内側には天井まで描かれている。
扉内側
「龍」は少しずつ違いが見られるので、青銅器の地文のようなスタンプではなく、同じ文様を描いている。輪郭線には肥痩があり、その先の尖り具合がみごと。
これが「龍のような文様」の1単位。
特に左上端の線はぴったりと両方から交わり、先が鋭く伸びている。このような筆致を見ていると、現存はしていないものの、高度な技術の絵画が描かれていたことが推し量られる。
「龍のような文様」は、『世界美術大全集東洋編2秦漢』では変形虁文としている。同じことだが、この展覧会では分かり易い言葉を使っているのだろう。

1号銅車馬車輿の表側と弩
蓋の上面と側面に文様が描かれている様子。
車輿の裏側
蓋には大きな菱文繋ぎ、下側面には斜格子の中に四弁花文のようなものが描かれている。
蓋裏面の菱文は大きい。中には雲文のような、左右対称に伸びる植物の芽のような。
腐食や顔料の剥落などのせいか、立体的に描かれているように見える。

銅盾には左右対称に雲気文のようなものが描かれているが、下の方は「龍のような文様」にも見える。
銅籠箙にも菱文繋らしき文様が。
箙の蓋は、車與のものよりも簡素だが、やはり菱文繋があり、その中に黒と赤の線で文様が描かれている。
途中の線を境に、下側は凸線で松皮菱風の文様(杯文)になっている。この錆のようにも見えるものは何だろう。蓋の曲がる部分になるのかな。
箙の背面にも凸線で菱文繋や松皮菱風文様の繋文が表されている。

実物の半分の大きさに造られたというこの銅車馬は、盾や箙にまで細かな装飾が施されている。
始皇帝が実際に乗っていた馬車は、どんなにか装飾にあふれていたことだろう。


            始皇帝と大兵馬俑展3 銅車馬
                   →始皇帝と大兵馬俑展5 銅車馬と壁画の馬

関連項目
始皇帝と大兵馬俑展8 陶鍑
始皇帝と大兵馬俑展7 繭形壺
始皇帝と大兵馬俑展6 馬の鞍
始皇帝と大兵馬俑展2 青銅器で秦の発展を知る
始皇帝と大兵馬俑展1 満を持した展覧会


※参考文献
「始皇帝と大兵馬俑展図録」 2015年 NHK・朝日新聞社
「秦始皇陵兵馬俑」 秦始皇兵馬俑博物館編 1999年 文物出版社
「始皇帝と彩色兵馬俑展図録」  2006年 TBSテレビ・博報堂
「図説中国文明史4 秦漢 雄偉なる文明」 稲畑耕一郎監修 劉煒編著 2005年 創元社
「世界美術大全集東洋編2 秦漢」 1998年 小学館