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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2010/10/22

唐の截金2 敦煌莫高窟第328窟の菩薩像



中国でも截金装飾の残るものは少ない。

『日本の美術373号截金と彩色』は、中国では地模様となるような直線文と点綴文からなる截金文様が知られているのみである。未見であるが、敦煌の彩塑菩薩立像(盛唐・第328窟)の裳などには四ツ目菱入り二重格子文や辻飾り・変わり斜格子文が彩色の文様帯とは独立して置かれているという。

四ツ目菱入り二重格子文 敦煌莫高窟第328窟奥壁(西壁)菩薩立像の裳 盛唐(712-781年)
菱形の截箔を四隅に置き、斜線を二重線で引いたもの。
辻飾り・変わり斜格子文 敦煌莫高窟第328窟 奥壁(西壁)菩薩立像の裳 盛唐(712-781年)
辻飾りは各角の花弁状のものをいうのだろう。斜格子文は菱形をつくり、各頂点を繋いだ横線が通るので「変わり」という表現をしているらしい。
尚、両図とも『敦煌歴代服飾図案』より転載されているため、実物の截金ではなく描き起こし図である。
『中国石窟敦煌莫高窟3』は、一仏二弟子二菩薩四供養菩薩(現存三身)浮彫光背両側に八大弟子二菩薩が描かれ、龕頂に説法図が描かれるという。
第328窟西壁龕内には塑造の菩薩立像はない。初唐以降のことと思われるが、このように西壁には龕が設けられ、その中央に釈迦、左右に八大弟子の内阿難・迦葉、その外側に菩薩が置かれるようになる。
同書には左の塑造菩薩半跏像の拡大図版があるが、菩薩の裙には幅の広い截金で文様の輪郭線、というよりも袈裟と同様に様々な布の小片を縫い合わせたその継ぎ目が表されている。金泥だと思っていたが、このシャープな輝きは金箔だろう。
左膝下には台座に裳がかかり、裳の太い截金の帯が2本、平行して弧を描いているが、その間には截金の細い平行線が3本残っている。しかし、他に截金文様は見られない。あるとすれば、左膝の前から上部にかけて緑青のような色の区画だろう。辻飾り・変わり斜格子文だろうか。
また、背後に描かれた菩薩立像の裙に四ツ目菱入り二重格子文(矢印)があるのではないかと思う。これが截金で表されているのか、彩色だけなのかは見分けられない。
そして龕天井の弥勒説法図にも四ツ目菱入り二重格子文(矢印)がある。これも截金か彩色かは見分けがつかない。

※参考文献
「日本の美術373 截金と彩色」(有賀祥隆 1997年 至文堂)
(上書の転載元として「敦煌歴代服飾図案」常沙娜)
「中国石窟敦煌莫高窟3」(敦煌文物研究所編 1987年 文物出版社)
「絵は語る2 高野山仏涅槃図」(泉武夫 1994年 平凡社)