ホシガラスが埋めて食べ忘れた種のように、バラバラに芽を出した記事が、枝分かれして他の記事と関連づけられることが多くなった。 これから先も枝葉を出して、それを別の種から出た茎と交叉させ、複雑な唐草に育てて行きたい。
2010/06/29
サッカラのピラミッド複合体3 列柱廊
ピラミッド複合体へは東周壁の南の端に近い入口から列柱廊を通っていく。まず狭い入口を入ると、暗い通路が待ち受けている。2人で並んで通ることができないほど狭さだ。その天井は丸太形に成形した石を並べている。
やっと明るくなってほっとしたと思ったらそれが列柱廊だった。
『吉村作治の古代エジプト講義録上』は、周壁の南東角の入口から足を踏み込むと、まず、天井のある長い柱廊が伸びている。側壁の高いとさころについた小さな窓からさしこんでくる光をたよりに、薄暗いな中を通っていくというが、先ほどの通路から比べると十分に明るい。
列柱廊は円柱が並んでいるのではなかった。円柱は両側の壁から独立していない。壁から伸びた小壁の先が円柱のように細工されているのだった。
下を向いて歩いている分には円柱が並んでいるように見える。擬似円柱は、長い葦の茎を束ねたように刳りが施された石を積み重ねて造られている。
『世界遺産を旅する12』の平面図には列柱廊の右側途中に偽扉があるので、右壁に気をつけて進んでいたらこんな開口部を発見。これは偽扉ではないだろうなあ。
壁面から小壁が出て、その端が葦を束ねたようになっている。それは正確には円柱ではなく、付け柱でもない。擬似円柱とでも表現した方が正しいかも。しかし、それは柱に見せかけたというのではなく、天井を支えるための柱を独立して立てる技術がまだなかったのではないかと思わせるものだった。
天井は、オリジナルの石の板を被せたのではなく、修復でこのようになったのだと思って通った。
だいぶ進んだところで、左向こうに天井まで達した柱があった。そこには擬似円柱の元の2つの小壁の間の天井が復元されていた。やっぱり丸太状の石を並べている。
その後しばらく「列柱廊」を歩いた。空が見えてきたと思ったら、4本の「円柱」の向こうは中庭だった。
それをくぐり抜けると、いきなり明るい光に満ちた広い中庭が目に飛び込んでくるというが、空がどんよりしていたこともあって、それほどの印象もない。
中庭から振り返ると4本の「円柱」の外にも凹凸のある壁があったようだ。
※参考文献
「吉村作治の古代エジプト講義録上」(吉村作治 1996年 講談社+α文庫)