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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2008/06/01

慶州博物館の四面石仏は


国立慶州博物館の野外には無数の石造美術が展示されている。その中で四方に仏菩薩などが浮彫されたものは、入口から考古館へと至る右側にある。時間がなかったので、説明文を撮す余裕がなく、時代や発見場所など不明である。

ところで、日本で四面仏というと、東に薬師、南に釈迦、西に阿弥陀、北に弥勒になっている。慶州博物館に置かれたものよりも時代は下がるが、奈良般若寺の石造十三重塔(鎌倉時代)の写真が見つかった。10年以上前に行った時に撮ったものだ。
『美術ガイド奈良』によると、総高13m余、わが国の石造層塔中では宇治浮島の石塔婆につぐ大きさといわれている。花崗岩製で、台石は方約210㎝、高さ90㎝、初重の軸石4面には線刻に近い薄肉彫で四方仏が刻まれ、各重は笠石とその上の軸石とを一石から造り出している。昭和39年(1964)解体修理が行われ、その際初重の軸石はじめ各所から多数の納入品が発見されたという。日本でも基壇や心礎以外に、いろんなところに納入したことがわかった。感恩寺の東西三層石塔の上層部から納入品が出てきても不思議ではなかったのだ。 周りに柵があり、近づけなかったので、線刻だと思っていた。韓国でも仏菩薩などが表されるのは石塔の一層目と考えてよいのだろうか。

1 隅柱があることから、三層石塔の塔身のようだ。頭光と身光のある仏坐像が浅く彫られている。東に薬師、南に釈迦、西に阿弥陀、北に弥勒の四面仏を表しているような気もする。2 これも三層石塔の塔身だろう。立像で表された四面仏で、頭光が身光に埋まるような表現となっている。またそれぞれに着衣も異なっている。3 三層石塔の塔身 隅柱の上部が欠けているが、舟形光背の中に如来が蓮華座に坐っている。4 三層石塔の塔身 中央に穴が空いているので、何か納められていたのだろう。頭光だけの如来立像は均整のとれた姿である。5 三層石塔の塔身 四天王立像。南山僧焼谷の三層石塔塔身の四天王像よりずっと動きがあるし、衣文の表現も細かい。6 隅柱がないので三層石塔ではないようだ。風化が激しいが、力強い輪郭である。しかし、右の面は小さな仏が彫られているようで、四方仏ではないかも。日本にも塔などとは関係のない石に仏像が表されたものがある。 慶州博物館では、四方仏も芝生に並んでいるので、向こう側を見ることができずに残念だった。

※参考文献
「美術ガイド奈良」(町田甲一監修 1979年 美術出版社)
「日本の美術45 石造美術」(小野勝年 1970年 至文堂)