高昌故城β寺院講堂はこの角度からみると長方形の建物に円形の屋根が載っているように見える。それは2段になっていて、下段の各隅にわずかにでっぱりがある。
日傘が見えるアーチ形のところが入口である。





『季刊文化遺産13古代イラン世界2』にサーサーン朝の創始者アルダシール1世の宮殿の写真があった。かなり巨大な建物のようで、正面から見て2つ講堂と同じ円筒形の屋根がある。

宮殿の主要な建築材料はやや小ぶりに粗く切り出した石材で、石灰モルタルをたっぷり用いて壁を築いた。建物の中でも主要な部屋は正方形につくって丸屋根のドームを架け、その他の細長い部屋はかまぼこ形のヴォールト天井で覆った。それぞれ木材を渡さないで屋根を架けようという工夫から生まれた建築術だという。
正方形の平面に頂部の切れたドームを載せたものは、サーサーン朝ペルシアに特徴的な建物と考えて良いようだ。
講堂との違いは円形の開口部が小さいこと、「天窓」という表現をされている。そして、4隅が講堂ほどはっきりとしていないことくらいのものである。
講堂も当初は円筒形の壁面がもう少し高くて、フィルザバード宮殿のように天窓程度のものだったかも知れないなあ。
※参考文献
「季刊文化遺産13 古代イラン世界2」 2002年 財団法人島根県並河萬里写真財団