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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2024/06/28

トプカプ宮殿 鼈甲と螺鈿細工


トプカプ宮殿はハーレムを先に見学して、螺鈿細工が鼈甲の上に施されていることに驚嘆した。

上部のパネルは花の形の鼈甲と螺鈿だけを組み合わせてある。


中央のパネルは二重の組紐文で幾何学文様をつくり、その中に鼈甲と螺鈿を嵌め込んでいる。

下部のパネルは、中心に螺鈿の六弁花を置き、その二辺が別のほぼ円になった二四角形の一部となって無限に同じ形ができていく。


そしてハーレムだけではなく、第4の中庭にあるバーダット・キョシュキュやレワン・キョシュキュでは造り付けの家具や窓の扉にもふんだんに使われていて、アフメト一世の玉座もほぼ鼈甲と螺鈿細工でてきていた。
メフメト一世の玉座についてはこちら


レワン・キョシュキュ
『トルコ・イスラム建築紀行』は、1635年の戦役でレワン(現アルメニア共和国の首都エレバン)を獲得した記念として建てた瀟洒な小亭という。

おそらく細長い戸棚だろう。そんなものにまで鼈甲と螺鈿細工を使うとは。

主文様は
イスラームの幾何学文様。

三菱文のようでそうではないものや、壺のような幾何学文様も。


その上下にはチンテマニという宝珠のような形をしたものがあった。
この文様については次回

下は二つずつだった。




バーダット・キョシュキュ
同書は、ムラト四世(在位1623-40)が1638年の戦役でバグダットを獲得した記念として建てた瀟洒な小亭。レワン・キョシュキュに酷似しているが、少し大きいという。

両開きの扉は窓用が多い。

このチンテマニも宝珠形。

パネルの外枠の文様も面白い。


室内は青いタイルで涼しげだが、下の方は鼈甲と螺鈿細工三昧。

中央の扉の上部
主文様だけでなく、枠の装飾帯もそれぞれに凝ってつくってある。
一番外側にメアンダー文、内側に矢筈文、その内側は細かい文様だが何と呼んで良いのやら。斜めの卍繋文?
メアンダー文についてはこちら

あれ、ところどころに緑色が。

ここにも鼈甲に緑色の地が!

緑色のものは真珠の母貝に色を塗ったのかも。


これに似たものを見つけた。

コーラン収納箱 16-17世紀 146 X65㎝ 
『ISLAMIC ART THE MUSEUM OF TURKISH AND ISLAMIC ARTS』は、アヤソフィアからトルコ・イスラム美術博物館にもたらされたこのコーラン収納箱は全体が象牙、真珠の母貝、黒檀、金属線象嵌で装飾されていたという。
えーっ、鼈甲は使われていなかったの?

矢印のような形のものは翡翠色だが、真珠母貝を染めたものだろうか、部分的に色がちがう。





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参考文献
ISLAMIC ART THE MUSEUM OF TURKISH AND ISLAMIC ARTS」 ANATOLIAN CULTURAL ENTREPRENEURSHIP 2019
「TURKISH TILES」 Özlem İnay EREN Öğus ERTEN   SILK ROAD PUBLICATION