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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2008/08/18

南山茸長寺址の磨崖仏は浅浮彫

慶州南山には急傾斜に茸長寺址がある。三層石塔からかなり下ったところに、建物は現存しないが、幾つもの丸い台座が重なった上に石仏坐像があり、その背後の崖に小さく如来坐像が浅浮彫されている。
右手は石窟庵の如来坐像と同じ触地印を結び結跏趺坐しているが、左手は実際には無理な形で不思議だ。
しかし、もっと不思議なのは大衣の着方だ。西方風偏袒右肩に、中国風の双領下垂の大衣をはおったようで、衣褶線も非常に密である。袈裟を着た如来像が新羅だけでなく唐にもあったので、このような着衣も唐にあるのかも知れない。

それらを除けば、頭部と左手がやや高浮彫であるが、全体に浅浮彫でまとまっている。  南山三陵渓で上禅庵の上にあった磨崖釈迦如来坐像は頭部は丸彫に近く、体や衣文の表現は線刻になってしまっている。着衣は双領下垂式。
一方、掘仏寺の四面石仏西面の阿弥陀仏立像は大岩に体を浅浮彫し、頭部は別に丸彫した石を載せているという。着衣は双領下垂式である。
東面の薬師如来坐像も頭部が高浮彫、体が浅浮彫で、衣褶線の多い表現だが、腕には大衣がなく、偏袒右肩にしては胸部の上まで衣文線が表されていて不思議だ。
新羅の磨崖仏は、見学した範囲では、頭部が高浮彫あるいは丸彫で、浅浮彫または線刻の体よりも重要視される傾向にあったようだ。その中にあって、南山茸長寺址の磨崖仏は頭部と体の表現に極端な違いがなく、まとまりの良い磨崖仏だと思う。