ホシガラスが埋めて食べ忘れた種のように、バラバラに芽を出した記事が、枝分かれして他の記事と関連づけられることが多くなった。 これから先も枝葉を出して、それを別の種から出た茎と交叉させ、複雑な唐草に育てて行きたい。
2014/07/22
箕面で田上惠美子ガラス展3
奥のテーブルにもすきとおるいのちがびっしり。
その真ん中には「散華シリーズ」
以前に田上氏にある個展の案内をもらってから、見たくて仕方がなかったこの作品。
蓮弁の葉脈が無数に通っていて、しかも、花弁の色が微妙に変化している。コアガラスなので、型でつくるのだろうが、それぞれ形も大きさも異なる。
花托にはレースガラスのショットグラスにミントの葉が入れてある。一番下の散華は、葉脈にウェーブがかかっている。すごい凝りよう!
その周辺にはトンボ玉
春の野 雪どけの隙間から、大地のあちこちから、新芽や蕾が顔をのぞかせる。心躍る季節
こちらは截金ではなく、金の截箔
つくばね 岩峰などの尾根筋や露岩の急傾斜地に見られる落葉低木。実は羽根突きの羽に似ている
ツクバネは昔雪彦山で見たことがあるような。いや、あれはコウヤボウキだったかな。なんとええ加減な記憶。どちらも老母の好きな植物であるのだが・・・
須磨 須磨の浦の波。その音や景色は、光源氏にはどのように映ったのだろう
田上氏の源氏物語シリーズ、完成したのだろうか?
うたかた 周囲の光を包み込んで漂う儚い泡沫。ガラスの中では、時は止まっている
透明ガラスの中に色ガラスが漂い、その間に小さな泡が遊泳していて涼しげ。それぞれに宇宙がある。
青海波の帯留。なんとかピントが合った、かな?
帯留類
田上氏の作品は截金や截箔など金箔を使ったものも多いが、結構表面がうねっているものがある。
右端の朱い石畳文の上や左の作品など、こんな風にされるのは嫌だ!と主張しているみたいにぶくぶく膨れている。どうやってつくるのだろう。
重そうだが、作り方に工夫があって軽い。ご自身も着物を着られるということで、帯が擦れて傷がつかないようになっていたりして、着る側目線の帯留。
岸辺
あれ、岸辺のグループの写真を撮っていなかった。
直線的というか、シャープな線の截金が多いが、こんな肥痩のある線も。まるでゆっくりと筆を運んだよう。さざ波を表しているのかな。
テーブルの右端に、石と一緒に転がっている中には、透き通っていないものもたくさんあった。河原の石と書いてある。なるほど、穴がない。
その一つ、石に花が咲いていた。
黒に見えたが、グレーも入ったマーブル模様で、ところどころに小さな穴があいている。つやもないが、極小の花が可愛ゆい。
勝手に並び替えたりなんかして
真ん中の小さな白と黒の石畳文の入った水色のが美味しそう、いや涼しそう。
そして、田上氏の作品とその並べ方、天善堂というギャラリーの空間を堪能した後は、最後のお楽しみ。
個展期間限定の天善堂特製濃厚抹茶かき氷!
粒あんは自家製、抹茶は一保堂のものとのこと。甘さ控えめで、さすがに濃厚な抹茶でも一保堂のものなので苦みがなく、大きな白玉団子は食べ応えがありました。口径の広い抹茶碗に入れてあるので、かき氷を外に落として、ああもったいないと思うこともなく、しっかり最後まで口の中に収まりました。
手前にあるので大きく写ってしまった木の匙も、金属のスプーンのように口当たりが冷たくなくて良かった。
一保堂の喫茶室嘉木にはないだろうなあ。
冷茶も美味しかった。 これも一保堂のお茶かな。
庭と展示室を眺めながら戴きました。
思えば、八木洋子氏と田上惠美子氏という、どちらも古代の技法で新しいものを創作するガラス作家。それぞれの個展を一週間のうちに鑑賞し、お二方に会えていろいろと説明を聞くことができるという、またとない濃密で幸せな機会だった。
最近は、古い仏像の台座についてまとめていて、あまり色のないものばかりを見ているので、今年の私の目の保養であり、心の洗濯となった。山歩きしていて、みごとなお花畑に通りかかったような。
※ これらの作品は田上惠美子氏の許可を得て撮影しました。
箕面で田上惠美子ガラス展2← →田上惠美子氏の蜻蛉玉展は真鶴のaToで
関連項目
きのわに八木洋子氏のガラス展を見に行った
きのわでの八木洋子氏の個展2 ムリーニ
きのわでの八木洋子氏の個展3
箕面で田上惠美子ガラス展1
今夏も箕面の天善堂で田上惠美子氏の個展