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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2007/12/19

歩揺付き金銅冠は頭に被らなかった?-藤ノ木古墳の全貌展より




橿原考古学研究所付属博物館のエントランスホールに藤ノ木古墳の飾履のレプリカがあった。何の知識もなく入ったので、 金色に輝く飾履の底にまで歩揺があって驚いた。そして歩揺には丸い形だけでなく魚形があり、飾履の表面全体に亀甲繋文が巡っていて、口縁部は色とりどりの暈繝の織物で飾られていた。藤ノ木古墳には金銅製の歩揺冠があったことも驚きだった。日本に歩揺冠があったことを知らなかった。
同展図録は、北側被葬者の上半身は非常に豊富な装身具が直接付けられているかそれに近い状態であったという。

この歩揺冠は北側被葬者の頭部付近から発見されたのではなかった。  
同書は、石棺の北西隅に北側被葬者の履A右側が立てかけられていた。履A左側も元は横に立て置かれて、足には装着されていなかったようだ。本来頭に戴く冠は二つ折りにされて差し込むかのように置かれていた。立ち飾りは根元から倒れこんで履Aの踵を覆っていたという。
他にも歩揺のついたものが副葬されていた。

半筒形品は履Aと同じ円形と魚形の歩揺をつけた半筒形の金銅製品で同形のもの2個で一対となる。表面には履Bと共通する亀甲文を施している。石棺長軸に合わせて脛骨と冠との間から出土している。元は表面を下に向けて重なり置いていたらしいという。
このように歩揺のついた金銅製品は足元付近に置かれたようだ。頭部には銅鏡が3面置かれていたので、ひょっとすると魔除けのために足元に金属製品を置いたのかも知れない。金銅冠は頭部に被るためではなく、副葬のために作られたのだろうか。それとも生前付けていた冠が魔除けのために足元に置かれたのだろうか。

※参考文献
「金の輝き、ガラスの煌めき-藤ノ木古墳の全貌-展図録」 2007年 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館

※参考ウェブサイト
奈良県立橿原考古学研究所付属博物館