綴織當麻曼荼羅(8世紀)は、傷みがひどく、またあまりにも大きいため、中段から上は何が描かれているのか、ほとんどわからなかった。
綴織當麻曼荼羅 絹本織成 縦394.8横396.9 中国・唐または奈良時代(8世紀) 奈良當麻寺蔵
それでも、図録で細部を見ていく過程で、截金らしきものを見付けた。
それは三尊会の上方に、宝楼会のある段の地面?を表すものだった。
観音菩薩の背後の飛雲?の両側に線が見えている。
斜格子の中に花文が入っている。花弁の数は7が多いようだ。
それは勢至菩薩の上方にも見られる。白黒写真の方が分かり易い。
截金だけでなく、仏菩薩の住まうという楼閣も、細部まで描かれている。
斜格子の中の花弁は8枚だった。
おそらく、定善義の各図の中に仏菩薩を観想する場面などにみられる線も截金だったのだろう。
上から⑨真身観(阿弥陀如来の観想)・⑩観音観(観音菩薩の観想)・⑪勢至観(勢至菩薩の観想)。
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他にも截金で荘厳した箇所もあったかも知れない。
見た目にはわからなかったが、残っている部分からも、大きいだけでなく、細部まで緻密に表現された、素晴らしい仏画だったことを改めて知った。
関連項目
東寺旧蔵十二天図8 截金7菱繋文または斜格子文
當麻曼荼羅4 序分義
當麻曼荼羅3 九品来迎図
當麻曼荼羅2 西方浄土図細部
綴織當麻曼荼羅の主尊の顔
観無量寿経変と九品来迎図
当麻曼荼羅原本は綴織
当麻寺で中将姫往生練供養会式
※参考文献
當麻寺 極楽浄土へのあこがれ展図録」 奈良国立博物館 2013年 奈良国立博物館・読売新聞社
「日本の美術272 浄土図」 河原由雄 1989年 至文堂
「日本の美術204 飛鳥・奈良絵画」 百橋明穂編 1983年 至文堂