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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2014/09/12

蓮華座8 古式金銅仏篇



如来及眷属像 五胡十六国時代(5世紀) 銅製鍍金 高さ28.1㎝ 出光美術館蔵
『小金銅仏の魅力』は、この時代の如来坐像の荘厳(しょうごん)の様をほぼ完全に伝えている点で極めて重要である。四脚座上框から伸び出た柄には、挙身光をつけた両脇侍菩薩、別鋳の大火焔光背には頭光をつけた7体の化仏、その下に飛天(右方亡失)と比丘形、菩薩形の立像をいずれも別鋳して取り付けているという。
なんと、中尊の台座から出た腕のようなものの先に蓮華座がある。反花が素弁か単弁かは はっきりと見えないが、おそらく素弁だろう。北魏時代に始まったと思っていたこのような三尊像の形式が、すでに五胡十六国時代には、その原形があったとは。
その上、中尊の大衣の下側には前向きの獅子が表わされている。

仏坐像 五胡十六国時代 金銅 高さ4.5㎝
『シルクロード華麗なる植物文様の世界』は、蓮の花の上で結跏扶坐するこの仏像は、中国における仏教彫刻史上、比較的早い時期につくられたもので、胴体に比べてやや頭が大きく、蓮華座の反り花が大きく反りかえるのが特徴であるという。
大きな蓮弁の中央には太い凸線があり、素弁でも子葉のある単弁でもないようだ。

如来立像 五胡十六国時代(4-5世紀) 銅製鍍金 高さ15.8㎝ 京都国立博物館蔵
同書は、頭部から台座の蓮肉部分まで一鋳とし、反花部以下は別製との説もある。インド・ガンダーラ式の通肩衣を身に着け、この時代の坐像と同じU字形衣褶で、大衣の端を同じく左肩より後ろに垂らすという。
やっと見付けた五胡十六国時代の蓮華座なのに、別製とは。この像に似合った蓮華座だが、本来のものではないということかな。

菩薩立像 西晋-五胡十六国時代(4世紀初め) 銅製鍍金 高さ33.6㎝ 伝陝西省三原県出土 藤井済生会有鄰館蔵
『小金銅仏の魅力』は、蓮肉部は朝顔形でここまで一鋳という。
蓮台はきっと蓮華座に差し込まれていたに違いない。
五胡十六国の西秦時代(385-431)には、既に複弁の反花の如来坐像の蓮華座があった。果たしてこの像の蓮華座にはどんな花弁があったのだろう。

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関連項目
蓮華座1 飛鳥時代
蓮華座2 法隆寺献納金銅仏
蓮華座3 伝橘夫人念持仏とその厨子
蓮華座4 韓半島三国時代
蓮華座5 龍と蓮華
蓮華座6 中国篇  
蓮華座10 蓮華はインダス文明期から?
蓮華座11 蓮華座は西方世界との接触から
X字状の天衣と瓔珞8 X字状の瓔珞は西方系、X字状の天衣は中国系
X字状の天衣と瓔珞7 南朝
X字状の天衣と瓔珞1 中国仏像篇
X字状の天衣と瓔珞4 麦積山石窟

※参考文献
「小金銅仏の魅力 中国・韓半島・日本」 村田靖子 2004年 里文出版
「中国・山東省の仏像-飛鳥仏の面影展図録」 2007年 MIHO MUSEUM
「中国の石仏 荘厳なる祈り展図録」 1995年 大阪市立美術館

「シルクロード 華麗なる植物文様の世界」 古代オリエント博物館編 2006年 山川出版社