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忘れへんうちに 旅編では、中央アジア各地、イランの旅に続いて、フランス南西部のオクシタニー地方の旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2019/01/08

コンク、サントフォワ修道院聖堂 ステンドグラス


サントフォワ修道院聖堂のステンドグラスは20世紀末につくられた新しいものだが、ロマネスク期の建物によく調和している。
後陣に日が当たる朝。
建物は窓枠や付け柱の他は石をモルタルで積み重ね、表面を化粧石板で覆っていた。それがわかるのは、石板が部分的に残っているのが見えるから。
その窓に嵌め込まれたステンドグラスは、2-4本の仕切りと細く切ったガラスを繋ぐ鉛の線、そしてガラスの淡い色という無機質な色彩だが、それがこの建物や頁岩(あるいはそれが広域変成作用を受けた結晶片岩)のウロコ屋根とによく合っている。
聖堂の立つ場所から見上げると、後陣の下部はまだ暗い。
地層のように水平に並んでいたり、斜めになっていたり
北翼廊のステンドグラス

午後には西ファサードに日が当たるようになる。
タンパンの上の方の窓にも

朝内部に入ると明るい光がまぶしく、普通のガラスのよう。
夕刻になると青みが出て、下にいくほど青みが増す。

『Conques』は、1995年、ピエール・スーラージュ(Pierre Soulages)が制作したステンドグラスが修道院聖堂に嵌め込まれた。
1919年にロデズ(Rodez)で生まれたこの芸術家は、86年からこの仕事に取りかかった。95の窓と9つの狭間で260㎡以上になるという。
午前の後陣のステンドグラス。東側にあって光は直接入り込まないので、ただ白く、鉛の枠線と水平に渡されたの太い金属の線が目立つ。

フランシス・シゴ(Francis Chigot)が1945年に制作した、色彩と文様の多いステンドグラスと取り替えられたという。
フランシス・シゴのステンドグラスの写真が、田沼武能氏の『ロマネスク古寺巡礼』に写っていた。
同書は、10月の第一日曜日にサント・フォワの祭りが毎年開かれる。宝物殿におかれているサント・フォワの黄金像がはこびだされ、聖堂内陣の台座に安置され、おごそかに祝祭ミサがあげられる。村人はもとより、フランスの内外から人びとがこの祝祭のミサに集まってくる。
過疎化した村人は高齢者がめだつ。若者の多くは他所からきた参拝客。この日ばかりは広い聖堂もあふれんばかりの信者で埋め尽くされたという。
右隅にサントフォワ像が置かれている。
そして内陣を囲む円柱列の奥に、キリストの磔刑図のステンドグラスが。

同書は、ガラス窓は、白から灰色の地味な色彩であるが、この明るさによって、教会内の構造と彫刻がはっきりと見えるという。
確かに柱頭もはっきりと見えた。

外から見た1枚のステンドグラス
同書は、ステンドグラスそれぞれは鉄枠が渡してある。水平の金属棒はパネルを建物に固定しているという。
ガラスというよりも和紙のよう
1片1片というだけでなく、一つのガラスでも部分的にも色が違う。
同書は、ステンドグラスは外側は、石によって変わる色と屋根を覆う頁岩の微妙な色合いを思わせる青みを帯びた灰色の色調となる。外側の表面はかなり光沢があるという。

昼間は、窓の場所によっては淡い色彩があるように感じる。それはおそらく北側のステンドグラスだろう。
午前
午前
午前 壁面が明るいので南側かも
午前 西側の小窓

午後 北翼廊のステンドグラスは白い
午後 南側?
淡桃色や薄水色のようにも思えるほど。
午後 1枚のガラスでも部分的に色が違って見える。
同書は、内側では、材質は光を通すが透明ではない。
ガラスの表面が粒状に見えるのは、石粒との調和である。その上、組積構造の各柱間に嵌め込まれた金属の枠は、建物にステンドグラスがよく馴染むように、石灰モルタル色の目地で縁取られているという。
同書は、ガラスの材質はざらざらして、乳白色で、結晶体のようだ。スーラージュによると、この材質は光を分割し、時間によって、異なった輝きの要因と気象条件の相乗効果と共に、さまざまに光の色合いを変えるように工夫されている。その豊かさはモノクロームであっても、青っぽい灰色の単色画(同色の濃淡の層の貴石)の中で動き回っているようだという。

夕刻 北側廊では白く見える
夕刻 場所によっては暗くモノトーン
これを見ていて、水滴を落として文様を作った和紙を思い出した
表面のざらついた感じ
その和紙をどこで見たのか?それは田上惠美子氏の個展で、作品の下に敷かれたものだった。
もう少し引くとこんな文様。



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参考文献
「Conques」 Emmanuelle Jeannin・Henri Gaud 2004年 Edition Gaud
「ロマネスク古寺巡礼」 田沼武能 1995年 岩波書店