お知らせ

忘れへんうちに 旅編では、南イタリアの旅を再開しました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2022/01/21

'21日本のガラス展1


『'21日本のガラス展』に田上惠美子氏の作品が選ばれ、その巡回展の会場の一つに姫路市の書写の里美術工芸館が含まれていることを知って楽しみにしていた。でも2021年とはいえ、その開催は2022年1月6日から。

同館は西の延暦寺とも称される書写山円教寺へのロープウェイの山麓駅北方にある。もっとも、ロープウェイの駅舎は山陽自動車道の高架下にあるため、夢前川沿いの道路からは見えないが😄

どんつきにあるのが同館の広大な駐車場。そこから館へのアプローチは竹林に囲まれているのだが、竹林は密になりすぎでは・・・🤔

宮脇檀氏設計の建物が竹林の間から垣間見えてきた。


魚眼レンズ風に写したのではなく、建物上部の丸みと、前面に敷き詰められた白玉砂利の縁が弧を描いているのとで、そんな風に見えるのだ。


さて、内部に入ると、撮影OKとのこと。作品を見る楽しみと、写す楽しみを満喫しました🤩

まずは1室目



link 朝倉祐子氏 ランプワーク  高さ56㎝ 幅56㎝ 奥行32㎝

コメント:離れていても 見えないところで、きっと誰かと繋がっている。

     こんな時期だからこそ心だけでも寄り添いたい。


'21日本のガラス展』図録はランプワークについて、バーナーを用いてガラス棒やガラス管などを熔かし成形・加工する技法。吹きガラスと同じように吹き竿(この場合はガラス管)に巻き取ったガラス種を吹き込んで成形する方法もあるというが、どんな風にこの作品を創られたのか、想像すらできない。


浮遊大陸 須賀訓氏 パート・ド・ヴェール 高さ18㎝ 幅26㎝ 奥行26㎝

コメント:ガラスの特性をいかした作品づくりを心がけています。

     幻の浮遊大陸をイメージして制作しました。 


パート・ド・ヴェールは古代からあるガラス制作の技法の一つで、アール・ヌーボーの頃に復活した。同展図録は、散材で作った型に、総合材(のり等)を混ぜた粒子の細かいガラスを詰めて、電気炉で焼成し成形する方法。ガラスに結合剤を混ぜない場合もあるという。


上から見るのと側面から見るのとでは色も表面も違う。
中に泡をとどめていて、荒々しく浸食を受けた大地のような表面へと向かっているような・・・


季節のうつろい 柴田
めいこ氏 切断・研磨・溶接・接着 高さ91㎝ 幅46㎝ 奥行30㎝ 
コメント:日本の四季は繊細な季節のうつろいを感じさせてくれます。 
     それらの匂い、色、形の変化に魅かれます。

アジサイかと思ったが、それぞれの淡い色のガラス片が、季節の色を表している。
金属の枠のないステンドグラスのよう。外からの光で見ると、もっと色がきれいだったかも。


いにしえ 坂本隆子氏 サンドブラスト 高さ50㎝ 幅 40㎝ 奥行40㎝
コメント:四季の移ろいを愛で日本の伝統的な “美”を紡いできた
     いにしえの全ての職人さんへのオマージュを込め制作。 
     これからも大切に未来へ引きつがれることを祈って...

サンドブラストについて同展図録は、圧搾空気で砂を吹きつけ、ガラス表面をつや消し上にしたり、浮彫彫刻を施したりする方法。ビニールのテープ等で覆う(マスキングする)ことにより、さまざまな文様を表現でき、砂目の種類や吹きつける力、時間を変えることにより表現効果をもたらすことができるという。
パート・ド・ヴェールかと思ったらサンドブラストとは。


静謐な冬の孔雀は西を向く 広沢葉子氏 宙吹き・サンドブラスト 高さ14㎝ 幅28㎝ 奥行28㎝ コメント:孔雀は夕方、西を向きそして岩の上で太陽の沈むのを眺めると聞いた。

     それは踏み入れてはいけない憂いか希望か・・

     私たち何をするべきか欲望に対する色々な事を考える。


本来は上から見るものではないのだろう。表側が見えるように置かれた鏡には別の作品が映ってしまっているし・・・

あらためて高台も見えるように撮影



ある日の交響曲 高木ひろ子氏 フュージング・サンドブラスト 高さ90㎝ 幅10㎝ 奥行5㎝
コメント:今まさに音が合わさる瞬間と地上に指す光が出会う瞬間を描いた。

フュージングについて同展図録は、電気炉の中で加熱し、ガラスを熔着させる方法という。

外枠のガラスタイルは、同一の大きさなのに、模様はどれひとつとして同じものはなく、内側は、異なる形のものをジグソーパズルのように嵌め込んである。 


タチ 板橋一広氏 雪花硝子 (結晶化によるリサイクルアートガラス) キャスト・研磨 高さ38㎝ 幅120㎝ 奥行19㎝

コメント:光の変化に微妙に反応する小空間がある。

     それは物質だけでは決して完結しない、ガラスというフィルターを通し

     そこに別の事象が 関わる事で出来上がる小さな世界だ。


キャスト(キャスティング)について同展図録は、耐火材で作られた型の中にガラスを詰め電気炉の中で溶解させて成形する方法という。


図録で部分的に色が見える箇所がある。そこが「小空間」なのだろう。
どんな方向から写しても、展示室ではこんな色は現れなかった。暗いところでしか見られないものかも。
板橋一広作タチ  『'21日本のガラス展』図録より


泉 磯谷晴弘氏 鋳込み・ 削り・研磨 高さ17㎝ 幅39㎝ 奥行39㎝

コメント:おいしい水を飲みたいと思う。おいしい水とはどんな水?

     おいしい水はどこにある? おいしい水を分かち合いたい。


湧き出る水を泡と共に閉じ込めたよう。新鮮な水はきっと美味しいに違いない。


彩漆玻璃脚付大皿「天」 晶阿弥博子氏 ダイヤモンドポイント・漆芸 高さ14㎝ 幅37㎝ 奥行35㎝ 

コメント:液体から固体、更に加飾され変容するガラス。

     透明性故の強烈な個性を尊重しつつ、命と祈りの表現を追求しています。

     金地に葉々・・・交錯し天に張る生命を彫り込みました。


ダイヤモンドポイントについて同展図録は、先端にダイヤモンドがついた針をホルダーに装着し手彫りでガラス表面に絵や紋様を描く方法。ハンディタイプの電動工具(ルーター)に装着して描く場合もあるという。

ガラスに蒔絵や彩漆絵とは。しかも、細い筆で描くのではなく、手彫りとは。
ふたつのうねりが曲面を多彩に区切っている。


1室目から2室目へは、Z字形の緩い傾斜路を上がっていく。その一つ目の角に展示されていた。

漸進 枋木秀行氏 サンドブラスト 高さ79㎝ 幅61㎝ 奥行5㎝

コメント:不安定な世界の中で、一歩一歩確実に漸進する

     古い殻を脱ぎ、新しい自分を・・・

     何かそんな感じ、知らんけど。(笑)


縁には電子部品が見え隠れ。その中には歯車などの機械的な世界となっていて、オウムガイが泳ぎ、セミが羽化している。

この作品を見て思い出したのは、アンティキティラ島の機械


2室目


中央にあるのは、

言葉についての考察 吉井こころ氏 キルンキャスト・イングレーズ 高さ23㎝ 幅50㎝ 奥行50㎝ 
コメント:潮溜まりは千切られた海である。
     大きな海を何になぞらえるかは人それぞれである。
     私はその大海を膨大な文章に換え、そこから千切った潮溜まりを言葉に見立てて
     制作する。



カオス コスモス 藤井哲信氏 宙吹き・キルンワーク 高さ11㎝ 幅40㎝ 奥行40㎝

コメント:渾沌とした社会に秩序が芽生え、

     新しい調和のとれた美しい宇宙が生まれますように。


実際の色とは全く異なる暗い色調となってしまった。本展は期間が長いので、また訪れてましな写真を撮影したい。


これが図録の写真。水の中をイルカの群が輪になって泳いでいるように見える。

藤井哲信作カオス→コスモス  『'21日本のガラス展』図録より


ヤマトタケル 小西晃氏 キルンワーク・吹きガラス 高さ9㎝ 幅48㎝ 奥行48㎝

コメント:ヤマトタケルは私の出生地に縁が深い。

     東国征伐で野中の火攻めに天叢雲剣で草を薙ぎ掃い

     難を逃れのちに草薙の剣と伝えられる・・

     コロナ禍の難局打開に願いを込めて制作。


作品に金箔が使われているものをときどき見かけた。この作品もそうだろうと思う。


海の記憶 藤巻晶子氏 キルンキャスト 高さ54㎝ 幅35㎝ 奥行18㎝

コメント:アンモナイトに心惹かれる。 深い海の底の太古の記憶のカケラ。

     知るはずもない世界の光景なのになぜか懐かしい。



シベリウス 岩崎隆氏 ステンドグラス 高さ41㎝ 幅40㎝ 奥行18㎝
コメント:シベリウスの音楽からイメージしました。
     ひとつの宇宙の中にまたひとつの宇宙がありその中にも宇宙があります。
     反復する永続性の中の真実。


記憶の形 桃原和広氏 フュージング・接着 高さ38㎝ 幅45㎝ 奥行18㎝
コメント:記憶とは曖昧なもの、
     明確にしようと思うほど実際と異なるものになってしまう。


4本の鉛筆("鉛筆”のシリーズより) 菅澤利雄氏 宙吹き・研磨・クリスタルガラス 高さ13・17・21・26㎝ 幅7㎝ 奥行6㎝
コメント:私の素材、クリスタルガラスに陰影は希薄だが代え難い光学的特性がある。 
     制作都度、それをテーマとどう融合させるかは尽きない面白さだ。 
     因に鉛筆の芯はガラス内に封じた光の結像。

六角形と思われる鉛筆の各面一つ一つにも角度を違えた面があるのだろうか。それに魅入ってしまう。



追想 橋本和代氏 バーナーワーク 高さ26㎝ 幅30㎝ 奥行30㎝

コメント:ガラスが好き、虹が好き、お陽さんが好き、ただ好きなものばかり追っかけてき

     ました。

     今後も楽しくガラスと向き合って行きたいと思っています。


1本1本をどのように繋いでいったのだろう。気の遠くなるような作業。


夢 藤田潤氏 ソリッドワーク・サンドブラスト・酸腐蝕 高さ37㎝ 幅25㎝ 奥行18㎝ 

コメント:目を閉じて見えてくるものがある。


ソリッドワークについて同展図録は、溶けているガラスを竿にとり、 息を吹き込まずに塊の状態で成形する方法という。


ゆっくりとまとめています😊



関連項目

参考文献
「'21日本のガラス展」図録 '21日本のガラス展実行委員会編集 2021年 日本ガラス工芸協会

お勧めの1冊
「ガラス工芸家100人 現代日本の精鋭たち」 別冊炎芸術 2021年 阿部出版株式会社