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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/06/07

唐招提寺4 鬼瓦

唐招提寺の金堂の東北には縦長の礼堂、その西に鼓楼がある。

金堂の東側にも石段からのぞむ鼓楼と礼堂。礼堂の方がすっきりとしている。

鼓楼(舎利殿) 鎌倉時代、仁治元年(1240) 
『新版古寺巡礼奈良8唐招提寺』は、鼓楼は、本来仏舎利を納めているので舎利殿とよばれていたが、江戸時代に「鼓楼」と名称を変更したようである。下層は通常は土間とするが、金亀舎利塔を納めているため上層と同様に床板を張り、四方に縁を回している。上層を経蔵、下層を舎利殿にした。様式は、基本的には和様であるが、木鼻付の頭貫や足固め貫など一部大仏様が取り入れられているという。

礼堂 鎌倉時代、建仁2年(1202)
同書は、講堂東側に位置し、桁行19間、梁間3間の南北に細長い建物。建設当初は東室と称し、講堂の東・西および北側に立つ三面僧房の一つで、僧の居住の場面としていた。しかし、時代とともに生活様式の変化に伴い不要のものとなり、南側8間を礼堂に改築し、釈迦如来像を安置した厨子と舎利厨子を南北に配し釈迦念仏の道場としたという。
40年ほどの違いで建物の雰囲気がこうも変わるものなのだ。
礼堂南より。
屋根が低いせいか、鬼瓦がやたら目立つ。
鳥衾・隅棟・降棟などに鬼瓦が見られるが、あまり古くなさそう。
隅棟の一の鬼と二の鬼
このように並んでいても全く異なる鬼瓦が使われている。
そして南側に一対の鬼瓦が置かれているが、
左と右はよく似ているが、鼻筋の盛り上がりや額にかかる髪、顎鬚などに違いが見られる。
どちらにしてもあまり古くはなさそう。

礼堂の東側には、経蔵と宝蔵が南北に並んでいる。どちらも校倉造である。
2つの蔵の間には、元は十三重ではなかったかと思われる塔が2基安置されている。右の方が古そう。


経蔵
同書は、唐招提寺がこの地に開かれる以前からあった建物2棟を1棟に造り替えたもので、境内では一番古い建物となるという。
お寺の説明では、校倉造としては日本最古とのことだった。天平宝字3年(759)までに建立正倉院よりも古いことになる。
通り過ぎようとしていて、西北の隅鬼が色が違うのが目に留まった。
一の鬼はあまり古そうではないが、二の鬼は古そう。
今まで調べた中では、平城宮ⅥA式(大)に一番近いかな。特に頬が瘤のように出ているところなんか。
『仏教伝来展図録』、Ⅵ式については、大小2種。外形はⅠ-Ⅳ型式と同じだが、鬼面の表現はかなり退化しているⅤ式の系統下にあるという。
平城宮ⅥA式(大)でもなさそう。

平城宮ⅥA式(大)
『仏教伝来展図録』は、Ⅵ式については、大小2種。外形はⅠ-Ⅳ型式と同じだが、鬼面の表現はかなり退化しているⅤ式の系統下にあるという。


宝蔵
同書は、古文書によると当初は鑑真将来の舎利3千余粒を蔵していたようであるという。
五重塔が建てられるまでの間、舎利を仮安置していたということかな。

白瑠璃舎利壺 唐時代 ガラス製 高9.2胴長11.2㎝
『鑑真和上展図録』は、白瑠璃の舎利壺は扁平な胴に短めの頚を付したフラスコ形で、底がわずかに盛り上がり、吹きガラスの技法を用いて制作されたと考えられる。ガラス自体は肩辺に大きな気泡が1個、他に細かい気泡が多数見られる透明で淡黄色を呈したもので、近年の研究で西方系に多いアルカリ石灰ガラスと判じられていることから、国際性豊かな文化が栄えた中国唐時代の制作になる請来品かと見られ、鑑真和上請来の伝承を裏付けているという。  
この宝蔵の西北の隅鬼には更に驚いた。
平城宮の獣身文鬼瓦のように平らで、文字通り獣の後ろ肢まで描かれている。
それは平城宮ⅠB2式の鬼瓦そのものにも見えるが、下図のようなひび割れがないので、補修瓦かも。

平城宮ⅠB2式 唐招提寺出土 唐招提寺蔵
『鬼瓦』は、B1は中型で、表現がやや平板。体部の巻き毛は外側に傾斜面をつける。B2は小型、B1に類似するが、巻き毛の断面が蒲鉾形であることなどで異なる。AとB1にくらべB2はわずかながら遅れてつくられたと考えられる。
平城宮内での出土数はB1・B2型式の1割。A・B2が唐招提寺から出土しているという。

屋根にのる鬼瓦のお腹が丸く出て、色が異なるのは、釘隠しらしい。
宝蔵の先を右に曲がった突き当たりが新宝蔵。
校木の隙間から新緑が見えた。
蔵の高床を支える太い柱と、その上にのる鼠返しの太い板。
通り過ぎる時に、古材が横たわっているのが見えた。どこに使われていたのだろう。


           唐招提寺3 金堂内部←    →唐招提寺5 境内を巡る

関連項目
鬼面文鬼瓦2 平城宮式
唐招提寺2 金堂建物の細部
唐招提寺1 南大門から金堂へ

※参考文献
「新版古寺巡礼奈良8 唐招提寺」 西山明彦・滝田栄 2010年 淡交社
「仏教伝来展図録」 2011年 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
「日本の美術391 鬼瓦」 山本忠尚 1998年 至文堂
「鑑真和上展図録」 2009年 TBS