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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2010/11/30

第62回正倉院展2 奈良時代に包み紙


今回の正倉院展ではきれいな「紙」の出陳が印象に残った。
どちらの画像も濃くなってしまったが、実物はもっと明るい色です。

色麻紙(いろまし、いろがみ) 正倉院中倉蔵 縦28.5横46.5(1紙)
同展図録は、紙で包んだヒノキ製の軸木に様々な色の麻紙を巻き重ねたもの。宝庫には同種のものが19巻伝わっており、すべて未使用である。上下に7.0㎝幅の白麻紙で帯封がなされており、奈良時代当時の包装の状態を留めている。軸木を紙で包むのは、材から出るヤニを避けるための配慮であろう。配色は紅・白・白橡(しろつるばみ)・黄橡・橡という。
紙が貴重なため木簡が使われ、その上不要となった部分を削って木簡を再度使うというような時代に、包装紙というものがあったことに驚いた。軸木のヤニを心配するなら、使い古した布でも良かったのではないだろうか。
会場の解説には、製紙の時に塵などがまじってしまったものを包装紙などに使ったと書かれていたようだ。
それにしても美しい麻紙で、今作ったと言われてもそうかと思うような褪せていない色だった。経年変化しているのは包み紙や軸木に巻いた紙くらいだ。
もう1巻、帯封を解いたものも展示されていた。
白紅・淡紅・黄褐・縹褐(はなだかつ)・白の組み合わせと白紅・淡紅・褐・灰褐・白の組み合わせをそれぞれ2度ずつ繰り返しているという。
この19巻も残っている料紙は、軸木がヒノキということで日本製だろうか。それとも、平積みの状態で唐からもたらされ、日本で軸木に巻いて保存していたのだろうか。


※参考文献
「第62回正倉院展目録」(奈良国立博物館監修 2010年 財団法人仏教美術協会)