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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2009/08/04

円筒印章の転がし方


円筒印章はいろんな特別展や美術館で見てきた。必ず現代において粘土に転がした印影と共に展示され、どちらかというと、印章よりも印影の方をじっくりと見ていた。時には水平な面に印影が出ているのではなく、ごろんごろんに盛り上がったり凹んだりして、よほど転がすのが難しいのかと思うような印影もある。おそらく工作用の粘土が硬くて回しにくかったのだろう。

円筒印章と印影 石製 メソポタミア出土 前3000年頃 東京、古代オリエント博物館蔵 
このように平たい面に長々と転がしてあるのを見ると(下図はその部分)、円筒印章はコロコロと転がせると文様が連続していて便利だなあと思ったものだ。 円筒印章の印影のある壺断片 焼成土 トルコ出土 前15-14世紀 イスタンブール考古学博物館蔵
サボテンのような生命の樹と樹の間で1回転する円筒印章なので、かなりの直径があったのではないだろうか。そしてこの壺自体もかなり大きなものだったのでは。円筒印章いやその印影を見ていて、手の平で転がしたのだろうと思っていた。ところが、円筒印章に軸をつけて転がしている図を見かけた。
『ニュートンムックメソポタミア文明』は、刻印するときには生の粘土板の上で印章をころがしましたと、軸については説明がなかった。
『オリエントの印章』は、紀元前3000年頃になると、芯の部分をくり貫き、ネックレスやブレスレットにしたり、ピンで衣服に留めたりできるようにしたものが多くなるという。
円筒印章を転がすためでなく、持ち運ぶために芯を刳り貫くという面倒なことをしたのだろうか。 『世界美術大全集東洋編16西アジア』は、弓錐(ゆみぎり、ドリルの柄に弓の弦を巻き付け、弓を前後に動かしてドリルを回転させる工具)によって印材に丸いくぼみをつけるという。手動式ドリルがあれば、芯部を刳り貫くこともできただろう。
円筒印章を粘土に転がす時には軸をつけ、持ち運ぶ時には首飾りや腕輪、ブローチにしてアクセサリにもなる。一石二鳥だったのだ。

関連項目

生命の樹を遡る

※参考文献
「世界の文様2 オリエントの文様」 (1992年 小学館)
「ニュートンムック古代遺跡シリーズ メソポタミア文明」(1996年 教育社)
「世界美術大全集東洋編16 西アジア」 (2000年 小学館)
「大英博物館双書④古代を解き明かす オリエントの印章」(ドミニク・コロン著 學藝書林)