2023/07/25

ルピュイ サンミシェルデギュイユ礼拝堂 La Chapelle Saint-Michel d'Aiguilhe 2 内部柱頭彫刻


ルピュイのサンミシェルデギュイユ礼拝堂は火山の風化した残りの尖塔のような岩の上に立っている。

タンパンの浮彫が残っていないのは残念だが、南東方向を向いたファサードにはロマネスク様式の装飾で溢れている。
それについては前回
中程の出っ張った仕切りの上に穴が開いているがこんなところに雨水を流すのは変。これはいったい。

神の右手が天井からいざなう。


振り返ると⑨の柱頭⑩の柱身、そして⑪の柱頭
⑨⑪の柱頭彫刻はアカンサス由来の葉文様が2段、その上に人間の顔があるようなないような


中を向くと左手に2本の円柱⑪⑫、石段の先にもう⑬1本。


建築家マレ l'Architecte Mallay による礼拝堂の平面図(Wikipèdiaより)
円柱の○数字はこの番号に従っている
建築家マレによるサンミシェルデギュィユ礼拝堂の平面図 Wikipèdiaより

身廊や後陣はどこなのか、変則的な構造のため迷ってしまう。

麓のサンクレール礼拝堂周辺に展示されていたパネルより
外側の周歩廊、円柱列の内側の身廊、その奥の内陣が把握できた。

まずは周歩廊の外側から
⑬⑭⑮⑯⑰⑱

⑭の柱頭
アカンサスの葉は籠のように表現され、その上に小さなアカンサスの葉が並ぶ


左から⑯⑰⑱、右は㉕㉖㉗、その奥に⑲。右奥の木製の扉は鐘楼に出入りするためのもの。扉の両側にも2本の円柱⑲⑳がある。


周歩廊の⑮⑯⑰⑱、身廊の㉔㉕㉖㉗㉙㉚、奥の鐘楼への扉のある壁の⑲⑳
はっきりとは撮せなかったものもある。

⑯の柱頭彫刻
隙間のあるパルメット蔓草の編み籠の上にアカンサスの葉が並ぶ

身廊、右手前から時計回りに、2本の円柱㉓㉔、続いて㉕㉖、奥に㉚㉜

身廊外側右から㉕㉖㉗


身廊内側左より㉕㉖

㉕の柱頭
各角に翼を広げようとしている鷲羽毛が表現されている。
四つの面にも有翼の鳥または動物



右から㉖㉗㉘、奥の身廊柱頭左より㉙㉚、奥の周歩廊左より㉑㉒
㉖と㉗はアカンサスの葉が2段になり、その上から人間が顔を出しているところが似ているが、アカンサスの葉の表現が異なる。


右より㉗、㉘㉚の間に周歩廊の㉒、内陣際の2本の円柱㉛㉜

身廊奥より内陣へと続く。右から㉘㉙、㉚と㉛㉜の2本の円柱


周歩廊左より⑯⑰⑱⑲の柱頭はどれもアカンサス由来の葉文様
身廊内側左より㉖㉗㉘の柱頭もアカンサス由来の葉文様だが、それぞれの表現が違っていて、中には人間の顔が出ているものも。
身廊内のフレスコ画にマギの礼拝があった。

身廊左より㉓㉕、㉕の奥には周歩廊の⑮
変則的な円柱の並びのために、交差天井も変則的になる。


左に身廊の㉚、その背後に⑳、二つ並んだ窓の間に㉑


身廊の㉗、周歩廊の⑰


㉗は2段のアカンサスの葉が小さな葉の集まりのような、レースのような表現で、上に人間の顔が出ている
⑰はアカンサスの葉はのっぺりとして、開いた上に渦巻きがのる。人間の顔も出ている


入口付近に戻る。

2枚の低い壁が下階と上階を仕切っている。
右端の⑫柱頭はアカンサスの葉と人頭
左に⑧、壁際の⑦⑩の柱頭の間には丸い窓が開いている。この窓がファサードの丸い穴だったのだ。
そして⑩は下から続く柱

⑫はアカンサスの葉が実物らしい表現で、その間の装飾的な台の上に人間の顔、両側に渦巻き


入口近くの周歩廊から内陣の外側へ
⑧は段の下に、左は①の柱頭で、その向こうに⑥、像を挟んで⑦、そして隅に⑩



左から①⑥⑦⑩⑧

⑦ 短いアカンサスの葉の上にイオニア式のような渦巻き

浅い彫りのパルメット蔓草、その上にアカンサスが並ぶ
⑩はつきりと見えないが、やはりアカンサス由来の葉文様と人物の顔もあるようだ


内陣への開口部右に③④の柱頭、その奥に⑤の柱頭

③は下に短いアカンサスの葉、その上に角に2枚ずつ重なり、面の中央と角に人物の顔がありそう。
④下半はつるんとした丸い容器も上にアカンサスの葉が並んでいるよう

何故か①②と③④の間の開口部から内陣に出入りしたはずなのに、②の柱頭を撮していなかった。


ロマネスク散策は、内部ではヴォールトは一本石の小円柱で支えられ、その柱頭には鷲、犬、野ウサギ、唐草模様、パルメット、アカンサスの葉、渦巻き模様といった様々なモティーフが彫刻されている。
柱頭には彩色の痕跡が残るという。
が、私の撮した柱頭彫刻は、㉕の柱頭以外は、多様なアカンサス由来の葉文様の柱頭だった。たくさん見逃してしまった。


ルピュイ サンミシェルデギュイユ礼拝堂1 外観

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