ホシガラスが埋めて食べ忘れた種のように、バラバラに芽を出した記事が、枝分かれして他の記事と関連づけられることが多くなった。 これから先も枝葉を出して、それを別の種から出た茎と交叉させ、複雑な唐草に育てて行きたい。
2013/07/30
レースガラスはアンティキティラ島出土物にも
アテネ考古学博物館では「アンティキティラ島の沈没船」という特別展を開催している。
アンティキティラ島はペロポネソス半島とクレタ島との間に位置している(下図中央の米粒形の島)。
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この沈没船は、「アンティキティラ島の機械」で有名だが、私の目を惹いたのは、何と言ってもガラスだった。
アンティキティラ島の機械については、同館ホームページの同展ページへ
ウィキペディアにも詳しい記事があります。
その中に、レースガラスと思われるものも展示されていた。
時間がなかったので、じっくり写せず、ピンボケばかり。
縞柄のモザイク碗 前1世紀第2四半期 高4.3㎝口径9.3㎝
縁はレースガラス、器体にもレースガラスが8本くらい使われている。
他にも白色不透明ガラス、白色を挟んだ紫色ガラスなどのガラス片が見られる。金箔サンドイッチガラスなどが、幅が狭くなったり広くなったりしながら、互いにくっついている。
同館ホームページは、2つの制作方法がある。その内の一つは、モザイク碗の制作プロセスに似ている。ガラスの部品を無色透明ガラスで繋いで長くする。そしてそれらを合わせて高温の窯に入れて溶かし、円盤状のガラス板を作る。円盤を凸型の上に乗せ、窯に戻す。ガラスは熔けて型に垂れ、碗の形が出来上がるという。
縁熱垂下法のことをいっているらしい。
また、色ガラスを繋いだ帯を無色の円盤状のガラス板に乗せ、垂下させることも考えられるという。
これは中心垂下法のことを言っているらしい。
レースガラスも金箔が使われているような・・・
しかし同館ホームページには、長く狭い黄色い帯、黄色と無色の捻れた線、不揃いな形の黄、紫(中には白い細線のあるものも)そして白が不均一に鏤められている。口縁部は約3㎝の無色透明ガラスと黄色の捻れガラス。円錐形の高台は菫色、白、黄色の筋の入った明るい緑色とある。
金色の箇所は全くなかった。
他にもレースガラス碗と見られる破片がいくつか展示されていた。
ネットワーク・モザイク・ガラス碗の破片 前1世紀第2四半期
これらが一つの器の部品だったら、大英博物館蔵のレースガラス碗と同じように、コアに螺旋状に巻きつけて制作したものかも。
モザイク碗 前1世紀第2四半期 高4.3㎝口径8.9㎝
モザイクパターンは黄色い弧のある青の芯に白い螺旋のある紫。所々にテッセラ形の白色不透明ガラスが挟まっている。円錐形の高台は黄色と白色の筋のある青色ガラスという。
口縁部は無色と黄色、白色のレースガラスという。
やっぱりこの器にも金箔ガラスは使われていなかった。
レースガラスだけで制作されたと思われる碗もあったが、これがとんでもないピンボケだった。
ガラス碗の半分
大英博物館蔵のレースガラス碗同様に、コアにレースガラス棒を溶かしながら螺旋状に巻きつけて制作したものだろうか。右端が斜めで終わっているように見える。
古代ガラス展3 レースガラス←
→古代ガラス展とアンティキティラ島出土物 円錐ガラス碗
※参考サイト
アテネ考古学博物館のアンティキティラ島出土物展
関連項目
古代ガラス展6 金箔ガラス製メダイヨン
古代ガラス展3 レースガラス
古代ガラス展2 青いガラス
古代ガラス-色彩の饗宴-展はまさに色彩の饗宴だった
その他ガラス・ファイアンスに関するものは多数
※参考文献
「古代ガラスの技と美 現代作家による挑戦」 古代オリエント博物館・岡山市立オリエント美術館編 2001年 山川出版社
「古代ガラス 色彩の饗宴展図録」 MIHO MUSEUM・岡山市立オリエント美術館編 2013年 MIHO MUSEUM