門をくぐるといきなり白・赤・青の3色構成の幾何学文様が両側から迫ってきた。青いタイルの門だったので、イスラームタイルから展観が始まるのかと思っていたら、世界のタイル博物館に来てみたいと思った一番の目当てのものが目に飛び込んできた。
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横のジグザグ、小さな三角の鱗文はクレイペグ6つで三角をつくっている。そして菱重ね文は大きな文様。
館内の説明は、粘土が豊富なメソポタミアでは、粘土を木枠に入れて一定の大きさに成形して天日干しにした日干れんがで住居や宮殿がつくられ、その表面装飾に円錐形のやきものがモザイクタイルとして使われたという。
そしてこのモザイク壁の部屋はこのように端が見えている状態で終わる。どのようにクレイペグを並べたかがわかるようになっている。
反対側の端の方がわかり易いかも。クレイペグの先だけに色がついている。
ウルクのクレイペグ装飾壁(復元図 出典 A.Noldekeほか:ウルク発掘調査概報第4集図版8)説明にはクレイペグによる壁空間(BC3500年頃 メソポタミア地域 ウルク)
建物の土壁をより美しく装飾しようとして当時の人々が考えたのが、クレイペグと呼ばれる円錐状のやきものです。ここでは、約5万本あまりものクレイペグを当時と同じように一つ一つ手づくりし、モザイク模様を土壁に再現しました。5500年前のウルクの人々は、推定200万本以上のクレイペグで装飾空間をつくりあげましたという。
大きな菱重ね文だけでなく赤か青の中に1本の白いクレイペグを斜めに並べた線左右から交差させた、単純な菱格子文もあるようだ。
菱形に組み合わせなくても縦横に並べて格子文にしたり、日本で石畳文あるいは市松模様と呼ばれる文様は古くから土器にあったように記憶している。土器ではないが、ウルク後期(前3500-3100年頃)のライオンの頭を象ったスタンプ印章では格子文がある。
そのような文様が何故ないのかとクレイペグの壁面を見ていたら、これらの文様は、丸い小さな点を全て斜めに積み上げることによって作られてることに気づいた。丸いものは斜めにしていった方が文様を作り易いのかも。
※参考
世界のタイル博物館の説明板