国立慶州博物館の野外には無数の石造美術が展示されている。その中で四方に仏菩薩などが浮彫されたものは、入口から考古館へと至る右側にある。時間がなかったので、説明文を撮す余裕がなく、時代や発見場所など不明である。
ところで、日本で四面仏というと、東に薬師、南に釈迦、西に阿弥陀、北に弥勒になっている。慶州博物館に置かれたものよりも時代は下がるが、奈良般若寺の石造十三重塔(鎌倉時代)の写真が見つかった。10年以上前に行った時に撮ったものだ。
『美術ガイド奈良』によると、総高13m余、わが国の石造層塔中では宇治浮島の石塔婆につぐ大きさといわれている。花崗岩製で、台石は方約210㎝、高さ90㎝、初重の軸石4面には線刻に近い薄肉彫で四方仏が刻まれ、各重は笠石とその上の軸石とを一石から造り出している。昭和39年(1964)解体修理が行われ、その際初重の軸石はじめ各所から多数の納入品が発見されたという。日本でも基壇や心礎以外に、いろんなところに納入したことがわかった。感恩寺の東西三層石塔の上層部から納入品が出てきても不思議ではなかったのだ。


1 隅柱があることから、三層石塔の塔身のようだ。頭光と身光のある仏坐像が浅く彫られている。










※参考文献
「美術ガイド奈良」(町田甲一監修 1979年 美術出版社)
「日本の美術45 石造美術」(小野勝年 1970年 至文堂)