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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2012/02/10

アクダマル島の教会1 アルメニア美術とビザンティン美術

ビザンティン美術とアルメニア美術との決定的な違いは、平面的な絵画か僅かとはいえ浮彫になっているかである。そして、ビザンティン教会には外側に宗教的な像は表されない。

一般的に教会の西側は正面入口になっている。その入口上部にこの教会堂を建立して神に捧げる当時のガギク王と、それを祝福するキリストが、その両側にセラフィムが表されている。
イスタンブールのアギア・ソフィア大聖堂では、南入口上に、神にコンスタンティノープルの街を献納するコンスタンティヌス帝と、アギア・ソフィア大聖堂を奉献するユスティニアヌス帝が表されているが、これはユスティニアヌス帝が建立した当時につくられたものではなく、紀元1000年前後に制作されたものだ。
キリスト教世界では、教会を造った者がその姿を教会に描かせるということが、広く流行していたのかも。
ガギク王とキリストの両側にいるセラフィムは、6枚の翼を持った天使とされる。
左側は腕を現さないが、右のセラフィムは肘から上をあげて、オランスという姿勢をとっている。
『世界美術大全集7西欧初期中世の美術』は、両腕を挙げて祈るオランスは、救済された魂一般の象徴というが、ここではガギク王の教会献納を賞賛しているかのようだ。
アギア・ソフィア大聖堂では、4名のセラフィムが直径31mもの大ドームを支えるかのように、ペンデンティブに描かれている。しかし、鳥の羽根のような翼には目玉は表されていない。
ビザンティン美術にしても、ロマネスク美術にしても、玉座のキリストや聖母子像といえば、西正面(ファサード)や聖堂内の後陣など、重要な場所に表されるのに、アルメニア美術では、あるいはアクダマル島のアルメニア教会では、外壁の、それも壁面が折れるような、目立ちにくい場所にある。
アルメニア教会では、そのような図像は重要視されていなかったかのようだ。
玉座の聖母子像では、聖母は幼子キリストを左膝にのせている。左膝にキリストを抱くのはホデゲトリア型だったと思う。
一方アギア・ソフィアの聖母はキリストを膝の間に抱いている。
『天使が描いた』は、幼子キリストは聖母の真ん中に位置し両者ともに正面を向いている。プラテュテラ型とよばれる聖母子像であるという。
アルメニア教会で最も重要な図像は何だったのだろう。

※参考文献
「世界美術大全集7 西欧初期中世の美術」(1997年 小学館)

「Aghtamar A JEWEL OF MEDIEVAL ARMENIAN ARCHITECTURE」(Brinci Baski 2010年 Gomidas Institute)